渡良瀬川の 土手を歩けば 三日月の影が 水面で揺れて 蛍のような 漁り火の列 淡い光を 放っている 根古屋森林に 忍び込む闇が 昼の名残りを そっと消してく 板倉水郷 水路の向こう 生きた化石が 夢見る水底 眠りについて 蓮田の上を 白い霧渡り 昔語りの 風が通って 機織りの音を 運んでくれば 絹の記憶が 目を覚ます 葦原の中 篝火が揺れて 時をすくって すくい上げては 遠い日々へと 溶けてゆく 板倉水郷 水路の向こう 生きた化石が 夢見る水底 眠りについて 川と稲穂と 過去が織りなす 郷土の歌を 聴いている
