碧い森に迷い眠る少女 鳥の羽をひとつ 胸に隠して いにしえの泉(みず)の辺 満ちてゆく月は銀色に 輝く水面へと映り込む 花の横顔に惹かれて 心を奪われた石の竜は 禁を破り人の声で語りかけた 風の凪いだ夜に少女はまた 竜(かれ)に出逢うために森を彷徨う 苔むした石の竜に近づけば 再び目覚めて ひらいた瞳から零れゆく 夏の空よりも綺麗な 涙を受け止めた白い羽は 遠い未来(あす)の先で 君を護るだろう 煌めく水底へ落ちてゆく 竜(かれ)は言霊を残して 心を通わせたあの夜から 昏い咎に沈む せめて幻に触れたいと囁いて 夢で交わされた約束 身体も失った竜は謳う 二度と逢えぬ君を 永久に忘れないと