虫籠の中の 螢みたいに 海野宿に 灯りが揺れる スケッチブックの 余白のような 夜が滲んで 広がってく カリヨンの音が こぼれ落ちては 湯の丸山に 吸い込まれる 誰かのため息 結露のように 窓に描いた 地図になる 祢津東町の 石畳みは 楽譜のような 模様を描き 木綿の靴下 奏でている シンフォニーを 聴かせてる 万華鏡の中 回転している カラフルな夢 重ねては すり硝子越し 覗く世界 色を変える サンプラー クロッキーブックに 描きかけの月 パレットナイフで 削り取って まだ見ぬ色に 染め変えては また描き直す 夜の韻
