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僕のデスクにお菓子がない

Track by狐火

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  • 2022.11.30
  • 4:01
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歌詞

昼休み明けの社内 入り口でアルコール消毒 午後もがんばろうと戻るデスク 立ち止まり見渡す 僕の両隣のデスクには 誰かのお土産かと思われるお菓子が そっと置いてあるのに 僕のデスクの上には ノートパソコンとマウスだけ 何かの間違いか いや、間違いであって欲しい 配っている時に僕だけ 離席してたとか いや、 昼休みだから両隣も離席してたはず デスクの上がキレイ過ぎて 今日休みだと思われたのかも 取りあえず見てみないふりをして 着席 自分でもわかる程 泳いでる目を 必死で落ち着かせて 平然を装う 取りあえず 見なかった事にすれば それでみんな幸せ 時には現実から目を背けてもいい 隣席の上司が 「あっこのお菓子誰のお土産?」 と聞いて来た やっぱり上司も離席してやがったか 目を合わせずに「わかりません」 と答えると 「何のお菓子だろ?もう食べた?」 と聞いてくる 「まだです」と答えながら思う 世の中には二種類の人間がいる デスクにお菓子を置かれる 人間とそれ以外だ 当たり前だと思って聞いて来た 質問でさえ人は傷付くことがある デリケートな世の中だからこれも 『お土産ハラスメント』という 居場所に落ち着く案件かもしれない いや、 このくらいハラスメントだと思わず 強く生きろ いや、今の発言も 『強く生きろハラスメント』か そもそも産まれた日から デスクの 上にお菓子なんてなかったんだよ これも一種の隣の芝が青く見える 現象で説明がつく パクパクモグモグ 視界の隅でお菓子を頬張る上司は そのお土産の主の旅先を 見据えているかのように遠くを 見ていた 僕はミネラルウオーターをゆっくり 喉に通した お土産の主の旅先を見据えている 上司をさらに見据えた 上司が「旅は道連れ世は情け、か」 とぼそっと言った これがデスクの上にお菓子が 置いてあった人間の余裕か 僕は表情こそあまり表に出さないが この時ばかりは上司が羨ましく 思えた このデスク上にお菓子が1つ 置いてあるだけで 人間こうも違う それをまざまざと 見せつけられている様で でも、 こればかりは 努力ではどうにもならないことなの でしょうか 考えたくないけど もしかして僕は嫌われてるのかな いや、そんな事いうな 親が心配する いや、ちょっと待った そういや正月休み明けの昼休みに デスクに 置いてあったお土産らしきお饅頭を 食べて 顔上げると僕の席は一列向うで 僕は知れない誰かのデスクで 知らない誰かから 誰かへのお土産のお饅頭を 食べてしまった事があった まさか、あのパターンか それなら気持ちが良くわかる マジで時間よ止まれと願いながら 自席にしれっと戻って 震えながら午後の業務にあたった そう考えると 今このフロアにはあの日の 僕がもう1人いる 責めてはいけない ただでさえコロナ禍でテレワークが 多い 自分の席だって見失ってしまうよ ふと、 1列後方のあの日のあの席から 「先週末、旅行に行った」 という声が 聞こえて来た まさかのリベンジパターン 現実は小説より奇なり いつでも 自分の精一杯のポジティブの下を 行く パクパクモグモグ 視界の隅でまだお菓子を頬張る上司 いつまで食べてるのかと思ったら 2個目のお菓子 それもしかして僕のじゃない?

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