できることならいっそ 拙いはしがきはなしで 未だ屋根を打つこの雨の 一滴の話をしよう 例えばあの日の約束が つけられた痣が 示し合わせたように 首を絞める ご丁寧にも、死なない程度に 手遅れになった祈りの言葉を 拾い上げる名も知らぬ あなたを待つ 結末はひとつも変える気すらないが 俺はもう、ここを発つよ 復讐のために筆を持って 塗り続けたどす黒い絵画 もう色を足す必要は とうになかったが 手遅れになった祈りを綴ろう 拾い上げる、誰かの鎧になるなら 幾千年先まで電子の海を往く いるはずのない、あなたを待つよ だから、もう行くよ