長い夜の隙間を揺れて ただ夢を見ていた まるで春を告げる花のように またどこかで逢える気がしていた 閉じた目を照らす月明かり 心を一つ歌って そっと風に乗って まだ白い空を渡った君を描いている いくつも季節を迎えてやっと辿り 着く その行く先なら君が知ってる 薄い紙の上に並ぶ その指先に宿っていたそれは 夜に浮かぶ月のような 美しさで横たわっている 記憶の至る場所で 溢れたインクのように君が深く 滲んで 今も胸に息づくまだ浅い夏の 柔らかな香りがその肩を撫ぜる 言葉を一つ歌って その風になって 思い出の側に座って ただ見つめている 果てしない夜に 凍えたこの胸にあった 心の在り処を僕は知らない 言葉を一つ歌って その風になって 思い出の側に座って ただ見つめている いくつも季節を迎えてやっと辿り 着く その空の青さも知らないままで 長い夜の隙間の先に どこかで逢える気がした