魚市場から シャッター降ろして 氷屑の上を 滑らないように 職人たちの 長靴の音が 坂道伝い 消えてゆく 塩竈神社の 石灯籠から カラスがとんで 月が見える 二百階段を 夜な夜な昇り 願い事また ひとつ増える マリンゲート前 観覧車止まり 暗闇の中で 塩の匂いが どこからともなく 浮かんでくれば 日和山公園 向かってみる 誰かの母が 干した雑巾が 塩風でまた カチコチになり 木造船から こぼれた光 ここにいるよと 教えてくれる 塩竈神社の 石灯籠から カラスがとんで 月が見える 二百階段を 夜な夜な昇り 願い事また ひとつ増える 明日も浜へと 魚を運ぶ 保冷車の 準備の音 冷たい潮と 漁師の声が 夜の街並み 目覚めさせる
