街灯が点る頃 荷物を抱えた人々が 駅前の広場から それぞれの家路につく 鳥の止まり木 電線が描く五線譜 悲しい曲を 誰が奏でるの 夕暮れの町並みが 荒浜の方角に沈んでく ショーウィンドウに映る 私の横顔が他人のよう 手を伸ばしても 触れられない距離 亘理大橋を渡る風が 私の髪を梳かしてゆく 誰かの温もりを 探してる でもまだ 見つからない そう 見つからない 閉まったお店の シャッターに腰かけて 通り過ぎる車の ヘッドライトを数える 悲鳴のような汽笛が 鳥の海に消えてゆく 古い映画のように モノクロの景色たち 記憶の中で 色褪せてゆく 逃した言葉と こぼした涙が 今夜も私を 独り占めする 町営住宅の 窓明かりが消えてく 郵便ポストに 手紙を預けたまま 返事の来ない約束が 胸の奥で凍えてる 月明かりだけが 私の影を連れて歩く 寄り添うように ついてくるけど 亘理大橋を渡る風が 私の髪を梳かしてゆく 誰かの温もりを 探してる でもまだ 見つからない そう 見つからない 街灯が消える頃 明日を夢見る人々が 駅前の広場に また集まってくる そんな毎日を ただ見つめている
