麻里府の里 田んぼ道 稲穂の波が 眠るころ 帰り遅れた 蛍たちが 農具小屋から こぼれ出て 夏の終わりの 贈り物 そっと届けに 来てくれた 田布施川の 土手に立ち 天満宮の 石段から 風に乗せては こぼれ来る 鈴の音だけが 導き手 三楽苑の 庭園で 月がこぼした 水墨画 水面が描く からくりは 繊細な糸 紡ぎ出し 時を編んでは ほどいては 私の気持ち 写し取る 麻里府公園 丘の上 瓦屋根越えて 見渡せば この町育つ 記憶たち 音も立てずに 溢れ出す 誰も知らない この場所で 私だけのね カレンダー めくるページが いつの日か 思い出という 宝物
