「もういいだろうか?」 色彩が苦しい ある程度啜ったままの小説に 泥濘を垂らし出来上がる海 夕暮れではサヨナラを奪い合ってる 友人 青銅の紫陽花が赤くなって君を映す ざらり、ざらり 砂金の道でまだ振り返らないように 折り紙の綺羅に満ちた雫を 紅茶に溶けた眼球へ 無邪気が空を走り回るように 羽ばたく芒畑 太陽がひどく綺麗だから 横顔に闇を描く 「記録開始」 「私達はいつまでも夢を見ている」 「夕暮れの夢を見ている」 「地上から飛び立とうとする 芒畑に」 「一緒に連れて 行ってはくれないか?」 「と、手を伸ばしてみるのだ」 「美しい景色だろう」 「しかし『美しい』 とは決まって恐ろしいものだ」 「だからきっと」 「黄金に照った君の横顔に闇が浮き 彫りになっているのも」 「気のせいではないのだと思う」 折り紙の綺羅に満ちた雫を 紅茶に溶けた眼球へ 無邪気が空を走り回るように 羽ばたく芒畑 太陽がひどく綺麗だから 横顔に闇を描く