未開封の生命などを取り巻いて竟日 風が凪いで 晴天からは殺人色が落ちる まだ夏だって ひとり十字路を歩く 裏に顔の見えない写真 腐る肉とカラスの大群と それらを足蹴にする人 病気になっても 直立姿勢を崩さない 信号機の赤点滅 ジェット機の音が 絶え間なく空を埋める 私の夏 跳ね除けて金属の羽 5Wと30 エンジン音の低音に 私の夏 看板の表情は赤錆 未開封の生命などを取り巻いて竟日 高閣のアヤトリを模倣する 足元はどうも 永遠の季節を手放したくはないって 言いたげでいる 室外機が堅牢な夢を唱えている ジェット機の音が 絶え間なく空を埋める 私の夏 跳ね除けて金属の羽 5Wと30 エンジン音の低音に 私の夏 看板の表情は赤錆 溶解炉じみている 炎天間際 地獄の中を 鉄粉混ざりの風景で 私まだ路上にひとり 白線の変色に 分断された 地獄の中を 鉄粉混ざりの風景で 私まだ路上にひとり